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「Someday My Prince Will Come」 [腐女子的妄想]

 ここ最近、「熱愛発覚!」「唯の友人です」「あの独身俳優が遂に結婚!」「アイドルだって恋愛したっていいじゃない?」的なニュースが巷を賑わせておりますね。夕方のニュースで某俳優の結婚の報に接し、嘆き悲しむ女性ファンの姿を見ているうちに、遠い昔の記憶がまざまざと蘇ってきました。

 私がまだ小娘だった、大昔の話です。当時、私は世界中で少女達に大人気だった某洋楽バンドの大ファンでした。どのメンバーもイケメン揃いでしたが、特にその中でも一番背が高くてハンサムで笑顔が素敵なメンバー(以下Aと記す)の大ファンでした。Aはいわゆる正統派イケメンでしたので、バンドの中でも一番人気。
 今思い返すと布団に頭を突っ込んで脚をばたばたしたくなるのですが、私はAを「白馬に乗った私の王子様」だと割と本気で信じてました。冷静になってみれば、極東の島国の片田舎で義務教育中の小娘と、世界的大人気バンドのメンバーに接点など有りよう筈もありません。それでも私は熱心に彼らの音楽を聴き、「いつかAに会えた時の為に英語はきちんと勉強しなくては!」と考え、写真集やポスターを眺めてはうっとりする日々を送っておりました。
 そんなある日のこと。彼らの母国のゴシップ誌が、Aには婚約者がいることをすっぱ抜きました。ご丁寧にもセミヌード写真付きで。ネットなどまだないご時世でしたが、衝撃は世界中に伝わり、世界中の少女達が嘆きの涙を流し、すっぱ抜いた出版社に対して怒り狂い、更には婚約者にも散々罵詈雑言が浴びせられた模様です(何しろネットがない時代だったので、音楽雑誌のニュースを見るしかなかったけど、それでも凄かった)
 当時子供過ぎた私は、にっこり微笑んでポーズを取った、Aの美しい婚約者の見事なナイスバディを眺めながら、「Aはこの女に騙されているに違いない!特にこの胸に!!!」と怒り狂った記憶があります。…ええ、彼女は素晴らしいグラマーさんでした…。今にして思えば、Aは大変健全な青年男子であったと言えましょう、金髪グラマー美女の魅力にメロメロになり、その勢いで宝石店まで突っ込んでいった挙句に一気に婚約までいったのですから。
 ちょっと可哀想なことに、世界中の少女達の憎悪の対象となってしまった彼女はしかし、結局Aとは結婚しませんでした。「A、婚約破棄」のニュースを私は大喜びで聞いた記憶があります。
 しかしながら、そうこうしているうちに同じバンドのB、Cがやはり同じ様に立て続けに婚約者の存在をすっぱ抜かれ、彼らはそれぞれあっという間に結婚してしまいました。Bはイケメンというよりは男にあるまじき美貌と、仕草がとても可愛らしい男性。Cは当時義務教育中だった私にはちょっと刺激が強過ぎる、つまりはセクシーな大人の男性でした。
 その時、小娘だった私に、何故かとても不思議な感情が芽生えたのです。元々そのバンドは幼馴染だったAとBが作ったもので、それ故にAとBは同じバンドの中でもずば抜けて仲が良かったのはインタビューでも度々触れられていましたから、ファンの間でも有名でした。当時の音楽雑誌は向こうのインタビューを許諾を得てそのまま翻訳して掲載することが多く、何故かバンドのメンバーのお母様のインタビューなども掲載されていました。
 Bのお母様は学生時代の二人について「二人は本当に仲が良くて、何処に行くのも一緒だった。BはAと一緒に見に行った映画のチケットの半券とか、レストランのナプキンとか、そういう細々としたものを『この日の記念に』って大事に箱に入れて取ってあるのよ」…と話しておられ、小娘だった私の内部に何ともいえないもやもやを大量発生させてくれたものでございます。
 それから時が流れ、私も大人になりました。好きだったミュージシャンや俳優が結婚すると「ああ良かった、いい人と巡り会えたんだなあ」とまず喜べる様になった時、Aが巨乳美女と婚約したと知ってわんわん泣いた小娘だった時代の自分を思い出して、何とも面映ゆい気持ちになります。
 大人になるって、いいものですね。こうやって余裕を持って「いつか王子様が」の王子様だと脳内で勝手に信じ込んでいた、かつての大ファンだったイケメンのゴシップもにこにこ笑いながら眺めていることが出来るのですから。

 そんな私が腐女子として生まれて初めてノートに書き殴ったやおい小説は、お互い好きなんだけど告白出来ないでいるうちにCにBが寝取られてしまって、すったもんだの挙句に最終的にA×Bでらぶらぶになる話だったんですけどね!!!

「Aは私の白馬の王子様」と夢見てた可愛い少女時代が確かにあった筈なのに、それから僅か数年後に「AとBはこんなにらぶらぶなのだから、絶対出来ているに違いない」などという考えに至るまで、私の脳内で一体どの様な変化が生まれてしまったのか、我ながら未だに理解出来ません。
 すっかりおじさんになったAはしかし、今でも相変わらず格好良い男性のままです。結婚と離婚を繰り返してるみたいですが、幸せに暮らしているのだといいなあ、と思う気持ちと、「いっそ『星の数程の女性と付き合ってきたけれど、一番愛していたのはBだった』って告白してくれんものか」…と同時に考えてしまう辺り、腐女子って本当に業が深い生き物なのだと思います。
 女の子は大抵子供の頃は白馬に乗った王子様に憧れ、「いつか白い馬に乗った王子様が、私を迎えに来てくれる」と夢見る訳です。けれども、成長するにつれて「そもそも馬で迎えに来るって有り得なくね?」「会社の入り口に深紅の薔薇の花束を抱えて白馬で乗り付けられたら、どんなイケメンでも百年の恋も冷める。『君に面会に来てる様だけど』と上司に言われたら、顔色ひとつ変えず『警察を呼んで下さい』って答えるわ!」「そもそも、来訪が不確実な王子様を待ってるよりも、自分の人生は自力で何とかした方が遥かに確実で手っ取り早い」と悟ってしまいます。やがて「私の王子様は、白い馬じゃなくて国産車に乗ってるの」と微笑みながら、結婚式という場で少女時代あんなにも憧れていたお姫様になるのです。
 そうやって少女達は皆大人になっていく訳ですが、その過程において「世間知らずの王子様が隣国の王座を追われて復讐に燃える元王子とかに騙されて(※以下検閲による削除)な関係になるって萌え!!綺麗なものって穢したくなるよね!!」…という風に、少しばかり違う道に迷い込んでしまうことが多々ある訳です。
イケメンが二人居たら、まずはほもほもしく絡ませたい」…という思考回路が形成されてしまった我が身に対して自嘲の念を抱きながら、それでも我らとてたまにはふと思い出す夜もあるのです。

 私達だって、あの頃は「いつか王子様が」だった。
 それなのに、いつの間にか「いつか王子様を」になってしまった。

 腐女子の業は何処までも深く、そしてちょっと哀しい。

 拍手からコメント有難うございます。こんな馬鹿げた内容ですので、お返事は明日までちょっとお待ち下さい、申し訳ありません!


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